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秋分の日の前後に彼岸花が咲く。夏草を刈り取った後の土手や、墓参りに訪れる墓地で真っ赤に咲いている花で、マンジュシャゲとも呼ばれる。子供たちには「死人花」とか「手ぐされ」などと恐ろしい名前が教えられ、美しいけれど触れてはならない花だと教えられる。飢饉が来たときの非常食の役割とが秘められている。
この彼岸花の球根はラッキョウのような形で、別の用途としてタコ釣りの擬似餌に使われる。これからシーズンを迎えるイイダコ釣りには、海底の転がる貝に似せたこの球根が重宝にされた。当然のことながら、漁村の子供たちは田んぼの周りを巡っては彼岸花を探し、イイダコ釣りの季節にそなえ、大人はそれを追い回して叱ったものだという。
マダコより体の小さなイイダコは、マダコの好む岩場には進出できず、マダコの嫌う泥場を主な暮らしの場にしている。砂から泥にかけての海底にはアサリやマテガイなどの貝類が豊富だ。動かない相手を餌にするイイダコは、カニや魚などの動くものを餌にするマダコより体がやわらかく、それが味わいにも違いとして出てくる。
彼岸花の赤い花を見て、ゆでだこを連想するのは私だけだろうか。
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